6 月にカスペルスキー製品ユーザーの PC 上で検知され収集されたデータは以下のとおりです:
- ネットワーク攻撃が阻止された回数:249,345,057
- Web サイト経由での感染の試行回数:68,894,639
- ユーザーの PC 上で検知・駆除されたマルウェア数:216,177,223
- ヒューリスティック検知数:83,601,457
6 月の主な出来事
幸運なことに、この夏の最初の月は、特に大きなサイバー犯罪もなく、比較的平穏無事に過ぎました。途上国では、IT セキュリティに関するユーザーの知識不足につけこんでマルウェアが拡大し、先進国では、ユーザーの個人データや金融情報を狙うマルウェアが流行しました。ブラジルでは、スパイウェア「banker」がいつものように蔓延し、ロシアでは、これまで同様、さまざまな詐欺の手口にマルウェアが使われました。
近頃では、様々な会社が提供するクラウドサービスが話題を呼んでいます。6 月には、Amazon のクラウドサービスが、ブラジルのユーザーを標的とするマルウェアのホストおよび配信に利用されました。
このマルウェアは、ブラジル国内の 9 つの銀行の顧客データを盗む目的で設計されたものです。
犯行の成功率を高めるために、このマルウェアは、アンチウイルスプログラムの通常の動作と、オンラインバンキングの安全性を保つ特別なプラグインの動作をブロックします。また、デジタル証明書と Windows Live メッセンジャーの認証情報を盗用する機能も備えています。
ありふれた偽のアーカイバーや、コンピューターのロック解除と引き換えに金銭を要求するトロイの木馬ブロッカーに加えて、ロシアのハッカー達は、今度は仮想通貨システムである BitCoin を利用した金儲けを企てました。彼らがやるべきことは、被害者のマシン上のリソースを、少しの間乗っ取るだけです。
Kaspersky Lab のエキスパート達は、標的のマシン上で BitCoin の正規のファイルである bcm.exe を起動し、サイバーマネーの生成を試みるマルウェアを検知しました。
このファイルは、マルウェアプログラム内に埋め込まれ、マルウェアの起動後にハードドライブにコピーされます。BitCoin のサイト管理者が、攻撃者のアカウントを速やかに遮断したため、犯罪者が大金を手にすることはありませんでした。
Mac OS X に対するハッカー達の興味は、まだ失せてはいないようです。このプラットフォーム向けの偽のアンチウイルスプログラムが 5 月に検知され、6 月にはバックドア Backdoor.OSX.Olyx.a が流通しました。このマルウェアは、感染マシンの遠隔操作を可能にし、他のマルウェアをダウンロードしてプログラムを起動させたり、インタープリターにコマンドを送信して実行させる目的で利用されます。
6 月には、各国当局の連携によるサイバー犯罪撲滅作戦が数度にわたって実行され、大きな成果をもたらしました。米国では、2 つの世界的な犯罪グループによる、偽のアンチウイルスプログラムを用いて金銭を詐取する犯罪活動を停止させました。概算では、これらのグループによる被害総額は 7 千 4 百万米ドルにものぼります。これらのグループを閉鎖に追い込んだこの活動には、米国当局に加え、ドイツ、フランス、オランダ、スウェーデン、英国、ルーマニア、カナダ、ウクライナ、リトアニア、ラトビア、キプロスが加わりました。東南アジアの数か国では、約 600 名がオンライン詐欺の容疑で逮捕されました。この作戦には、中国、台湾、カンボジア、インドネシア、マレーシア、およびタイの警察も協力しました。ロシアでは、ロシアの有名なオンライン決済サービスプロバイダー ChronoPay のオーナーである、Pavel Vrublevsky が、競合相手に DDoS 攻撃を仕掛けた罪で逮捕されました。もう 1 つ、サイバー犯罪との戦いにおいて、立法レベルで重要な進展があったことをお伝えしておきましょう。6 月、日本の国会で、現行の法律へのある改正法案が可決され、マルウェアを作成または拡散した者には懲役が科せられることになりました。
マルウェアランキング
前月と同様に、6 月のインターネット上のマルウェア Top 20 には、新しいプログラムが多数含まれていました。一方、ユーザー PC 上で検知された脅威 Top 10 の顔ぶれには、ほぼ変化がありませんでした。
インターネット上のマルウェア
この月も、インターネット上のマルウェア Top 20 の大半(Top 20 の内の 14 ポジション)は、リダイレクター、スクリプトダウンローダー、エクスプロイトなどのドライブバイ攻撃を仕掛けるマルウェアで占められています。
リダイレクター
Top 20 には、次の 4 種類のリダイレクターがランクインしています:
Trojan-Downloader.JS.Agent.fzn(12 位)、Trojan-Downloader.JS.Agent.gay(13 位)、Trojan-Downloader.JS.IFrame.cfw(14 位)、Trojan.JS.IFrame.tm(15 位)。
14 位、15 位のリダイレクターは、<iframe>タグを使用して、ユーザーを悪質なサイトに誘導するだけの原始的なものですが、12 位、13 位のリダイレクターには高度な技術が用いられています。これらは、正当な「.js」ファイルに感染するだけでなく、別の JavaScript のダウンロードも行います。ただし、これはアクティブなウィンドウ内でカーソルが動いた時のみです。この技術は、一部のサンドボックスやエミュレーターを回避する目的で使用されているようです。

Trojan-Downloader.JS.Agent.gay に感染したスクリプトの一部
ダウンローダー
ランキング内のスクリプトダウンローダーは 2 つのグループに分類できます。最初のグループは、Trojan.JS.Redirector.pz(5 位)、Trojan.JS.Redirector.qa(7 位)、Trojan.JS.Redirector.py(8 位)、Trojan.JS.Redirector.qb(9 位)。もう 1 つは Trojan-Downloader.JS.Agent.gbj(11 位)と Trojan-Downloader.JS.Agent.gaf (19 位)です。
上記すべてのダウンローダーのメインスクリプトデータは、HTML タグ内に格納されます。最初のグループのスクリプトでは、<img> タグの alt パラメーターが使用されています。一方、2 番目のグループでは、